
先日、次のようなご相談をいただきました(複数の事例を組み合わせたものです)。
入社して間もない若手従業員について、
- 仕事をなかなか覚えられない
- 挨拶や返事ができない
- 業務中に居眠りをしてしまう
- 勤怠も乱れている
- 指導をしても改善が見られない
というものでした。
そのうえで、次のような質問をいただきました。
・試用期間満了でクビにしてもよいか
・どう受け止めればよいのか理解できない
・診断を受けているか、手帳を持っているか聞いてもよいか
一つずつ整理していきます。
前職への病歴確認について
前職に病気の有無を確認することは、個人情報保護の観点から避けるべきです。本人の同意なく病歴を調べる行為は問題になります。
試用期間満了での解雇について
試用期間満了時の解雇は、期間の定めのない解雇に比べると認められやすい傾向があります。ただし、それでも制限がないわけではありません。
労働契約法第16条には、次のように定められています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
正当な理由のない解雇を行うと、後に従業員から訴えられた場合、裁判所で不当解雇と判断される可能性があります。
例えば、症状が出ている従業員を能力不足を理由に解雇する場合、単に他の人より成績が悪い、作業が遅いというだけでは、不当解雇とされる可能性があります。指導や配置転換を行ったうえで、それでも勤務成績が改善しないことが、正当な解雇理由として認められるための条件になります。
「理解できない」という気持ちについて
戸惑うお気持ちも分かります。ただ、相手は業務のためだけに存在しているわけではなく、一人の人間です。仕事に適応できないことや、なかなか覚えられないことについて、本人自身が悩んでいる可能性もあります。まずはその視点を持つことが大切です。
診断や手帳の確認について
診断名や手帳の有無を確認したいという気持ちの背景には、相手にレッテルを貼りたいという意識が働いていることがあります。
勤怠の乱れや居眠りなど、困難を抱えている様子が見られるのであれば、まずは体調を気遣う声掛けから始めることをおすすめします。
そのうえで業務に支障が出ている場合は、指導の記録を残しておきます。具体的な苦痛や症状が見られる場合は、産業医や医療機関につなぐなど、安全配慮義務の観点からアプローチするとよいでしょう。
これですべて解決するという方法があるわけではありませんが、一つの進め方として参考にしてください。
まとめ
ご相談内容から感じるのは、業務上の必要性や戸惑いが大きいあまり、本人の気持ちや悩みを聞くという段階が飛ばされがちなのではないかということです。
声を掛けても、相手が警戒したり、そっけない態度を見せたりすることもあるかもしれません。
ですが、それもまた一つの情報ですしそれ自体が症状の可能性もあります。業務上の必要制を重視するのであればなおさら、相手が一人の人間であるということを、まず思い出していただければと思います。
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