「厳しく叱ったら即パワハラ」ではない│法律オンライン・全国対応 とくほ社会保険労務士事務所

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2026.7.5 「厳しく叱ったら即パワハラ」ではない│法律が定める定義と職場の対応 お知らせ コラム 労務

職場での指導において「どこからがパワーハラスメントになるのか」というご相談をよく受けます。
「部下に厳しく注意したら、すぐにパワハラと言われてしまうのではないか」という不安の声も聞かれます。

ハラスメントかどうかは、本人の主観だけで決まるものではありません。今回は、法律が定めるパワハラの定義や、裁判例などからまとめられた「6つの類型」、そして職場で問題が起きた際の初期対応のポイントを解説します。

パワハラを構成する「3つの定義」と客観的な判断基準

法律上、職場におけるパワーハラスメントは、以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。

・優越的な関係を背景とした言動であって
・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
・労働者の就業環境が害されるもの

「受け手がハラスメントだと主張すれば、すべてパワハラになる」と誤解されることがありますが、実際には「平均的な労働者の感じ方」を基準とした客観的な評価(社会通念上、許容される範囲を超えているか否か)によって判断されます。

また、業務上必要な範囲で行われる適性な指示、指導はパワハラには当たりません。

裁判例からみる「パワハラ6類型」

厚生労働省の指針では、過去の裁判例や紛争処理事例に基づき、パワハラの典型例として以下の6つの類型を挙げています。
これらはあくまで典型例であり、これら以外の中にもパワハラに当たりうる行為が存在することに留意が必要です。

具体的な行為の例

① 身体的な攻撃暴行や傷害を与えること
② 精神的な攻撃脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言を浴びせること
③ 人間関係からの切り離し隔離、仲間外し、無視をすること
④ 過大な要求業務上明らかに不要なことや、遂行不可能なことを強制・妨害すること
⑤ 過小な要求業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと
⑥ 個の侵害私的なことに過度に立ち入ること

近年では、一目でわかるような明らかなパワハラ事例は減少傾向にあると言われています。
その一方で、一見判別しにくいグレーゾーンの事例が増えています。

参考 厚生労働省ページ

裁判所でNGになりやすいケース

裁判においてパワハラと判断されやすい典型的な例として、「人格の否定」や「人前での過度な叱責」があります。

「バカ」「クビにする」「君がやめたほうが部署のためになる」などの人格の否定
部署全体に向けた「CCメール」での公開叱責
「立派な学校出てるのに仕事できない」「もう歳なんだから語学の勉強なんかやってないで正確な書類を作れ」など個人的な事柄を絡めて揶揄するような叱責

これらは業務の適正な範囲を超えていると判断される可能性が極めて高くなります。

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「何でもかんでもハラスメント」なのか?

事業主や管理職の方が「最近は何でもかんでもハラスメントと言われる」というボヤいてらっしゃることがあります。

実際に、被害者とされる側が、ハラスメントの定義を幅広く(自分に都合よく)解釈している事例があるのも事実です。
一方で、加害者とされる側の明らかなハラスメントではないかと思われる事例も、それなりにあります。

さらに、権力勾配が上の立場の方が、認識不足や説明不足により「ずっとこうしてきたから」「みんな我慢しているから」と悪気なく不適切な言動を続け、被害を訴える方の傷を深めている事例も少なくありません。

ハラスメントの問題は、単純に白黒をつけられない状況が多く存在します。
周囲が「何でもかんでもハラスメントと言いすぎだ」と一括りにレッテルを貼ることは、問題を矮小化させ、深刻なハラスメントを見落とし、結果として、組織全体のリスクを高めることにつながります。

事実の確認と適切な初期対応

問題が発生した際、第一報の段階でハラスメントの有無を正確に判断することは困難です。

まずは「感情」と「事実」を分けて時系列表を作り、客観的な事実を把握するために、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を用いて具体的に記録を残すよう促します。

被害を訴える側に認識のズレがある場合: 法的な該当性とは別に、業務上の必要性などについて丁寧な説明を行います。

加害者とされる側に非がある場合: 自身の言動の問題点を自覚してもらい、認識をアップデートしてもらう必要があります。

いずれの場合も、周囲へのヒアリングを含めた丁寧な調査を行い、状況を正確に把握することが不可欠です。

次回はヒヤリングの手順を掘り下げます

今回はパワハラの定義と初期対応の心構えについて解説しました。次回は、問題が起きた際に組織としてどのように動くべきか、「ヒアリングの具体的な手順」について詳しく解説します。

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