
私が社会保険労務士に合格したのは2010年ですが、その後16年活動する中で、パート、アルバイトなど非正規雇用に関する環境や法律は大きく変化しました。
特に近年は「なぜ正規社員と非正規社員の間に待遇差があるのか」を、客観的・具体的実態に基づいて説明することが強く求められる時代となっています。
本記事では、令和8年(2026年)10月の「同一労働同一賃金ガイドライン改正」に伴い、現場が押さえるべき実務のポイントを3回に分けて解説します。
今日は「そもそも同一労働同一賃金とは?」を見直し、次回以降、ガイドライン改正に伴う具体的な実務対応を紹介します。
そもそも同一労働同一賃金とは?
同一労働同一賃金とは、正社員と非正規社員(パート・アルバイト・契約社員・嘱託社員など)が同じ仕事をする場合に、両者の間にある不合理な格差を解消する制度です。
※比較対象は「無期雇用のフルタイム正社員(通常の労働者)」となります。なお、正社員同士の待遇差はこの制度の対象外です。
不合理な格差の例(メトロコマース事件)
早出残業手当の割増率について、非正規社員は法定通りの25%増、正社員には27%〜35%増しとしていたケース。最高裁でもこの差は「不合理」であると判断されました。
パートタイム・有期雇用労働法の基本構造(第8条・第9条)
不合理な待遇差かどうかを判断する際、法律上は以下の2つのルールに分かれます。
第8条(均衡待遇ルール):職務内容や配置変更の範囲(転勤や異動)に「違いがある」場合。
原則: その違いに応じた待遇決定が必要。第9条(均等待遇ルール):職務内容や配置変更の範囲が「まったく同じ」場合。
原則: 待遇に差をつけてはならない。
「同じ仕事」の判断軸
同じ業務(レジ打ち、入力作業)を行っていても、以下のような観点から「仕事の価値」が判断されます。
- 職務の内容: 責任の程度、失敗したときのリスクの重さ、リーダー業務、研修委員会への参加の強制、緊急対応の有無
- 変更の範囲: 転勤、施設間異動、部署異動、応援対応の有無
- その他の事情: 成果・能力・経験、定年後の継続勤務、労使交渉の経緯など
次回の記事では、今回のガイドラインで大きく変わった
「労働条件通知書の改訂」と「説明義務」について説明します。
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