
「体調不良なのでテレワークで勤務します」という従業員からの申し出に、判断に迷ったことはありませんか?コロナ禍を経て普及したテレワークですが、本来の目的や労働契約の原則を改めて確認し、運用ルールを明確にしておく必要があります。
会社と従業員 「体調不良時のテレワーク」への認識の差
会社の視点:「体調不良なら業務を休み、回復に専念すべき」と考えます。万全でない状態での勤務は、かえって回復を遅らせ、休職リスクを高めることにつながるからです。
従業員の視点:「通勤の負担や対人ストレスさえなければ働ける」と考えます。自宅であれば身支度や移動の時間が省け、合間に休憩も取りやすいといったメリットを感じている場合があります。
体調不良時のテレワーク継続がもたらすリスク
会社が安易に体調不良時のテレワークを認め続けることには、以下の実務的なリスクが伴います。
生産性の低下と長期化:本来であれば休養により短期間で回復できるものが、無理に業務を続けることで低いパフォーマンスが長引く結果になります。
メンタル疾患の予兆を見逃す:対面であれば気づけたはずの顔色の変化や態度の違和感を見落としやすく、本人が自覚しないまま症状が悪化し、突然の長期休職に至る危険があります。
労働契約との不整合:出社を前提とした労働契約では、期待される成果に対して賃金が設定されています。パフォーマンスが著しく低い状態での勤務は、公平な人事考課を困難にします。
テレワークの有効な活用シーン
一方で、テレワークには有効な側面もあります。
家庭の事情への対応:家族の介護、子どもを預けられない日の対応、転勤によるキャリアの断絶を防ぐといった場面で、テレワークは有効な選択肢です。
身体的理由による通勤困難:骨折などで移動は困難でも事務作業には支障がない場合や、パニック障害など特定の事情により電車利用が難しい場合には、テレワークが適切な配慮となります。
法的背景:育児介護休業法の改正により、テレワークの導入は企業の「努力義務」となっています。

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就業規則とテレワーク規程の整備
このようにテレワークは国も推奨しており、多くのメリットがあります。
「体調不良なのでテレワーク」を問題にするのであれば、テレワークの目的をもう一度考えてみることが必要です。
たとえば全社員がテレワークの会社では、この要望に対する不公平感は生まれません。(体調把握の課題は残りますが)
また、生産性や健康管理の面で言えば、出社している人も二日酔いや寝不足、軽度の腹痛や頭痛など、何らかの体調不良を抱えていることがあります。「出社=生産性が高い」とは必ずしも言い切れません。
「体調不良なら休むべき」という意見はもっともですが、「体調不良」と「休む」は白黒はっきり分かれるものでもありません。
「働いてみたら案外できた」「やはり無理だった」は、実際に始めてみないとわからない場合もあります。
会社の運営として避けるべきは「出社を前提とした労働契約を結んでいる」にもかかわらず「なんとなくテレワークをズルズルと許してしまう」状態です。
そのため、以下の点を整えておくことをお勧めします。
①会社の方針を明確にする
まず、自社におけるテレワークの意味や価値を、データに基づいて確認してください。
メリットデメリットを比べて、あまりにも生産性が低下すると判断される場合は、テレワークの適用範囲を限定的にする必要があります。
②就業規則への明記
場当たり的な対応を避けるために、以下の内容を規定に盛り込みましょう。
・テレワークの利用基準: どのような場合に認め、どのような場合に認めないかの線引き
・期間と回数の制限: 体調不良を理由とする場合、連続利用の日数に上限を設ける
・受診と休職の勧告: 不調が長引く場合はテレワークを継続させるのではなく、医師の診断や休職規定の適用を優先させる
まとめ:会社と本人の健康を守るための適正運用
テレワークは便利なツールですが、体調不良を押して働き続けるための手段ではありません。長期にわたる無理な勤務継続は、会社の負担増につながるだけでなく、従業員本人の健康悪化を招くリスクも抱えています。
「出社に耐えられないほどの体調不良であれば、しっかり休ませる」という原則を徹底し、それを裏付けるルールを整備することが、健全な組織運営の第一歩です。
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