従業員10人未満のサービス業の経営者の方からご質問をいただきました。
主治医から「1ヶ月以上の休職をするべき」という診断書が出され、休職中です。
休職期限を10日ほど残したところで、本人から「少し体調が良くなってきたので数時間でも出社したい」
という申し出がありました。
正直なところ、会社としても人手が足りないので働いてもらえるととても助かります。働かせることは可能ですか?
休職中に体調が良い時は仕事をさせるべきか
結論から申し上げますと、その状態で働かせることは問題があります。
休職者が復職するには、休職の原因となった疾患が「治癒」していることが必要です。
メンタル疾患の状態は波があり、良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。
一時的に良くなったように見えても、悪くなる可能性がある状態は「治癒」とはいえません。
治癒しているかどうかは、本人や同僚、上司が判断すべきではありません。
主治医や産業医の判断が必要
雇用主は、職員に働いてもらって利益を得る以上、職員の安全や健康に配慮する義務があり、その義務に違反すれば、損害賠償責任等、様々な責任を負う事になります。
今回のケースでは、安全配慮義務の観点から「治癒に向けて療養に専念すること」を本人に指示する事が必要です。
むしろ、仮に社員が療養せずに出勤した場合は、止める姿勢を会社が見せなくてはいけません。
医師からの「復職可能」という診断書が出ないまま働かせ、症状が悪化した場合、企業は「安全配慮義務違反」の責任を問われて損害賠償を請求されるリスクがあります。
休職から復職の判断をする上で鍵になるのは、医師からの診断書です。
復職の判断をする上でも、のちに退職理由について争った場合も、休職者の状態を客観的に判断する資料になります。
困ってしまうのが、診断書の記載内容が簡潔な場合です。
解釈がいくつもできるような記載内容だと、復職が可能なのか判断が難しくなる場合もある。
診断書の提出を求める場合は
・病名
・症状
・休職の必要性
・休職期間
・休職するまでもないときには業務量の調整などについての配慮内容
などを具体的に記載してもらうようにするとのちのリスクを回避できる可能性が高まります。
とくほ社会保険労務士事務所では、メンタルヘルス対策について
①メンタルヘルスについての問題が起きる前
②兆候が見えたとき
③メンタル疾患者が出たあと
各場面に応じて、社員への教育研修、休職規定の整備、休職者への対応など様々な支援を行っています。
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