期間の定めのある労働契約は、会社と労働者が「その期間働き続ける」ことを合意して契約を結んだわけなので、原則として期間途中での解約の申し込みはできないことになっています。
それでも、やむを得ない事由があれば解約はできますが、会社からの契約解除については、期間の定めのない労働契約における解雇に関する労働契約法16条の要件よりも厳格なものとされています。
逆に労働者からの解約は「やむを得ない事由」について、会社よりも緩やかに設定されています。
有期労働契約の契約期間途中の解雇で争点になるのは
①解雇事由への該当性
②期間満了を待つことなく直ちに雇用を終了されるような特別重大な事由
就業規則上の解雇事由に該当すること、契約期間満了まで待てない理由があることが客観的に証明できなくては、解雇無効とされる可能性がありますし、契約期間満了までの損害賠償請求をされる心配があります。
もちろん、天災事変など、会社に責任のないことで事業の継続が困難になったときは契約解除が可能です。
単に経営上の問題による解除であれば、特別の重大な事由に該当しないので「やむを得ない自由」とは認められません。
労働契約期間の途中でメンタル疾患にかかった従業員の扱い
契約期間満了前に、メンタル疾患にかかった従業員について、会社から契約解除することはできるか?
原則として、契約期間満了までは雇用が保証されますが、先の2つの自由があれば会社側からの解除が可能になります。
①解雇事由への該当性
病気により労務の提供ができないことによる解雇は、一般的に社会通念上相当であると理解されます。
ただ、たまにいるので書くのですが、例えば「働けない人のために健康保険料や厚生年金保険料の事業主負担を支払いたくない」といったことは、即時解雇の理由にはなりません。
②期間満了を待つことなく直ちに雇用を終了されるような特別重大な事由
期間満了までに回復が見込まれないことが明確であれば②にも該当しますが、回復が見込まれる場合は解釈が難しくなります。
病気の原因が仕事であるときは、労働災害とみなされるため、病気について「療養のため休業する期間」と「病気が治癒してから30日間」については解雇することはできません。
(労働基準法第19条第1項)
メンタル疾患の場合は、病気の原因が業務上かプライベートか、医師などの専門家でも判断が難しいので、解雇の判断は慎重に行う必要があります。
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