有期雇用契約の「雇い止め」 機械的なようで徳島県徳島市のとくほ社会保険労務士事務所

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2024.3.29 有期雇用契約の「雇い止め」 機械的なようで奥深い その要件とは お知らせ コラム メンタルヘルス

Contents

雇い止め

有期労働契約は、一般的に「その期間が満了した場合に契約終了する」ことが原則です。

しかし、契約が反復更新されたことにより「実質期間の定めのない労働契約と同視できる」と判断された場合や「労働契約が更新されることに合理的期待がある」場合には、労働契約19条により同一条件で更新されることになります。

雇い止めで争点になるのは
(1)更新基準の明確性
(2)雇い止め事由への該当性
(3)業務の客観的内容
(4)契約上の地位の性格
(5)更新を期待させる言動
(6)更新手続・実態
(7)勤続年数・実態

一つずつ簡単に見ていきます。

(1)更新基準の明確性

労働基準法施行規則第5条に、使用者が労働者に明示しなければならない労働条件が定められており、「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」が含まれています。

(2)雇い止め事由への該当性

同じ地位にある他の労働者の、雇い止めの有無等

(3)業務の客観的内容

担当する仕事の内容、勤務の形態、正社員との同一性

(4)契約上の地位の性格

地位の臨時性(臨時職員、嘱託職員など)はあるのか、労働条件についての正社員との同一性

(5)更新を期待させる言動

「契約は形だけのものだから、定年まで勤めてほしい」などの説明があったかどうか

(6)更新手続・実態

反復更新の回数、更新手続きの厳格性の程度、更新の可否の説明等

(7)勤続年数・実態

勤続年数、年齢等

上記の項目をもとに、雇い止めの有効性を総合的に判断します。

項目の数は多いですが、反復して更新を繰り返しておらず、契約更新への期待もなければ争いにはなりません。その一方で機械的に判断されるというよりは、雇い止めとされた社員の現場での長年の働きぶりや貢献度、人柄や人間関係など、比較的主観に基づく判断基準も発生するので、契約書だけを見て有効性を見極めるのは難しい部分があります。

有名な判例

亜細亜大学事件
20回更新、21年間働いた非常勤講師の雇用契約につき、専任教員との比較から、期間の定めのない契約に転化したとは認められず、雇い止め有効 (東京地判昭和63年11月25日)

福岡大和倉庫事件
契約書に期間の定めはあるものの、その期間の定めは一応のもので、双方に特段の支障がない限り雇用契約が更新されることを前提として締結されているし、具体的な仕事の内容も長期雇用を前提に任されているので、期間満了を理由として直ちに雇い止めをすることは認められない。(福岡地判 平成2年12月12日)

有期雇用労働者がメンタル疾患にかかった場合

有期雇用契約期間の満了による契約終了は基本的には解雇ではないため、メンタル疾患により労務が提供できず、会社が更新を望まなければ、基本的には「契約期間満了による退職」となります。

しかし、有期雇用の場合でも「契約を反復更新するなど実質的に期間の定めのない雇用契約」と見られる場合は、解雇法理が適用される可能性が生じます。ですので、会社も労働者も、契約書の内容をよく確認することが大切です。

特に業務上の疾病の場合は、のちのち損害賠償に発展する可能性もあるため注意が必要です。
契約を解除するにしても、会社と労働者でよく話し合い、納得して契約を終了させることを勧めます。

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