試用期間中にメンタル疾患で休職 試用期間満徳島県徳島市のとくほ社会保険労務士事務所

試用期間中にメンタル疾患で休職 試用期間満了時の契約解除は可能? 新着情報の画像デコレーション
2024.2.15 試用期間中にメンタル疾患で休職 試用期間満了時の契約解除は可能? お知らせ コラム メンタルヘルス
当社では新入社員、転職者を問わず、3ヶ月の試用期間を定めています。
中途採用で試用期間中の従業員が、入社から2週間ほど経った頃から欠勤が目立ち始め、4週間後に「メンタル疾患のため2ヶ月の休養を要する」という診断書を提出してきました。
診断書の休養期間は、ギリギリ試用期間終了よりも前なのですが、会社としては試用期間満了での雇用契約終了を希望しています。
法律上問題はありませんか?

Contents

試用期間とは

「試用期間」とは採用者に一定期間仕事を任せてみて、会社との相性を確認する制度のことです。

労基法21条では、試用期間中の労働者に対する解雇予告は不要であると定めています。
この場合でも、労働者が14日を超えて引き続き使用されることとなったときには解雇予告が必要です。

ご質問の内容は「試用期間満了での契約解除」です。

試用期間中であっても、労働契約が成立している以上、契約解除は解雇とみなされます。
30日の解雇予告期間を設けるか、解雇予告手当が必要になります。

通常の解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできません(労働契約法第16条)。
ただ、試用期間の満了時の契約解除であれば、通常よりも緩やかに制限されるとされています。。

試用期間満了時の解雇が許される場合

①当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において、
②解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に相当であると認められた場合

にのみ、解雇が許容されます。
(三菱樹脂事件より)

今回のケースを見てみますと、試用期間中に長期欠勤するということは、雇用契約締結時には知ることができなかった健康状態の不調が表に出たわけで、①をみたすと考えられます。

また、長期欠勤したことによって、試用期間中に与えられた仕事を充分に行えず、本採用を決断するだけの材料がないということですので、②もみたす可能性があります。

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注意する点

試用期間中の解雇は、通常よりも緩やかに規制されているとはいえ、会社の義務として解雇を回避する努力は必要です。
具体的に言うと「解雇以外に試用期間の延長が可能だったか?」を検討し、そこから結論に至るまでの過程を残すことを心がけましょう。
解雇するにしても、試用期間延長時の会社の金銭的負担など「回復までは待てなかった」という根拠を残すことが安全です。

休職規程について

Q そもそも試用期間中の従業員は休職ができるのですか?

A 「試用期間中は休職規定を適用しない」といった明示がない限り休職規程は適用されます。
「試用期間だから」という理由で休職規程を適用せずに解雇した場合、解雇無効とされる可能性はあります。
それを防ぐためにはあらかじめ規程に「試用期間中の者は対象外である」旨明記する方法が一つあります。

詳しくはこちらの過去記事をご覧ください

では、すでに試用期間中の欠勤者が出てから「試用期間中の者には適用しない」と就業規則に明記していないことが判明した場合はどうしたらよいのでしょうか。

後付けで「試用期間中の者に休職規程は適用しない」と記載するのは簡単ではありません。

就業規則や休職規程の変更は、労働基準監督署への提出が必要です。
また、労働者への周知と、過半数代表者の署名が必要です。

更に「就業規則の不利益変更」とみなされた場合は、労働者の同意が必要になります。

いずれも一両日中には難しいことがおわかりいただけたと思います。

試用期間中の労働者に試用期間満了での退職を促したいが、のちのち解雇無効を訴えられることは避けたい・・・。
個別の従業員の個性による部分もありますが、一般的には、労働者が退職に納得できれば、のちのちの争いなどは避けられます。
試用期間での契約解除理由を誠実に労働者に伝え、退職勧奨でも解雇でも、労使でよく話し合って記録を残すことが大切です。

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とくほ社会保険労務士事務所では、メンタルヘルス対策について
①メンタルヘルスについての問題が起きる前
②兆候が見えたとき
③メンタル疾患者が出たあと

各場面に応じて、社員への教育研修、休職規定の整備、休職者への対応など様々な支援を行っています。

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