
就業規則、きちんと読んで、内容を確認していますか?
私自身、20代の頃はほとんど目を通したことがありませんでした。
しかし、大企業への転職や社会保険労務士としての実務経験を通じて、就業規則は単なる社内文書ではなく、トラブル時の証拠となる重要な「行政書類」であることを実感しました。
今回は、曖昧で実態とかけ離れた就業規則に潜むリスクについてお話しします。
就業規則を意識しなかった20代
20代の頃、小さな会社に勤めていた私は、就業規則をほとんど意識していませんでした。
かなり古い内容で、実態と異なる部分も多くありましたが、「こんなものだろう」と思っていました。
しかし、30代で大企業に転職してから、就業規則に対する認識を改めるできごとが起きました。
その会社は経営状態が厳しく、会社と従業員の間でトラブルが頻発していました。
メンタル疾患による休職者も多い中、ある社員が「休職期間満了」により退職することになりました。
本人は復職を希望していましたが、会社側は解雇規定を拡大解釈し、本人の意向を押し切る形で退職を迫りました。
雇用保険の失業給付手続を行った本人は「解雇である」と主張したため、就業規則の内容が何度も精査されることになりました。
ルールが曖昧なままでは、会社に都合よく解釈しても通用しない――私は恥ずかしながら、そのとき初めて、就業規則の重みを知りました。
社労士として知った「数行の重み」
その後、社会保険労務士(社労士)の資格を取得し、多くの判例やトラブル事例を学びました。
改めて痛感したのは「就業規則の不備は、会社にも従業員にも大きな損害を与える」という事実です。
たとえば、労働基準法26条(休業手当)と民法536条2項(債権者の危険負担)の関係があります。
民法536条2項では、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができない」と定められています。
この民法の規定を就業規則で除外するか否かによって、会社が支払うべき金額が大きく変わる可能性があります。
また、仮の例ですが、「家族手当は世帯主に支給する」という規定がありながら、実際の運用では「税法上の扶養家族」や「社会保険の被扶養者」を基準にしているケースもあります。
このように言葉の定義が曖昧だと、従業員も混乱し、トラブルの火種になります。

徳島市のとくほ社会保険労務士事務所
実態と違うとき、どうすればいい?
「自社の就業規則が実態と異なるかもしれない」と感じたら、まずは素直に会社へ確認することをお勧めします。
ただし、聞き方には注意が必要です。
手当などには、就業規則の文章には明記されていない長年の慣習や会社の意図が含まれている場合があり、必ずしも労働者に有利な結果になるとは限りません。
特に曖昧な規定については、裁判で争われて初めて結論が出ることも少なくありません。
一方で、日本的な「空気感」や「人間関係・慣習」に頼る就業規則は、時代にそぐわなくなっているのも事実です。
高度経済成長期やバブル期のように、会社が従業員に手厚い待遇を提供できる時代は終わりました。
その分、労働者も労使関係を「契約」として対等な立場で厳しく見るようになっています。
実態に合わない部分は速やかに修正し、形骸化した不要な手当は整理するなど、「今の形」にアップデートし続けることが、健全な会社運営には欠かせません。
まとめ
就業規則は、会社と従業員を守るための大切なルールブックです。曖昧な記述や実態との乖離を放置すれば、いずれトラブルに発展します。
定期的な見直しと、明確な運用ルールの整備が、信頼関係の土台となります。
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