医療労務コンサルタント研修を修了しましたオンライン・全国対応　とくほ社会保険労務士事務所

今年度の目標にしていた「医療労務コンサルタント」の研修課程を無事に修了することができました。
この研修を通じて、医療機関特有の労務管理の難しさと、その改善がもたらす可能性について、改めて深く考える機会となりました。

医療労務コンサルタントとは

社会保険労務士会では、医療業界における労務管理分野の整備・充実に向けた取り組みの一環として「医療労務コンサルタント」の養成を行っています。
これは、医療機関における労務管理の特殊性や実務に関する専門知識を習得した社会保険労務士のことです。

医療労務コンサルタント研修（研修項目）

• 厚生労働省の施策について
• 医療業界を取り巻く現状と日本医師会の取組みについて
• 医療業界を取り巻く現状と日本看護協会の取組みについて
• 医療機関の労務管理の特殊性及び相談支援を行う際の留意点について
• 医療機関の労務管理に関する相談事例
• 医療従事者の健康支援のための労務管理のポイント
• グループワーク
• グループワーク総括

医療機関は一般企業とは異なる独特の労働環境を持っており、その複雑さに対応できる専門家が必要とされています。
医療労務コンサルタントは、そうした医療現場の実情を理解したうえで、適切な労務管理をサポートする役割を担います。

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小規模クリニックで感じた労務管理の難しさ

これまで私が実際にご相談に乗ってきた小規模クリニックでは、一般企業にはない特有の課題がいくつもありました。

専門職としてのプライドと知識のギャップ

医師、看護師、コメディカルワーカーなど、それぞれが高度な専門職として誇りを持って働いています。
特に働く側の方が労働に関する知識を持っているケースも多く「何十年も同じ労務管理を続けていたタイプの院長」と意見がぶつかることも少なくありません。
専門職ゆえの自律性と、組織としての労務管理のバランスをどう取るかが大きな課題です。

多様な雇用形態への対応

正職員、パート、夜勤専門職、嘱託など、医療機関では雇用形態が非常に多様です。
また、女性スタッフが多い職場という特性上、産前産後休暇や育児休暇など、ライフステージに応じた柔軟な対応が求められます。
それぞれの雇用形態や状況に応じた適切な労務管理が必要となり、その複雑さは一般企業以上です。

奉仕の精神とワークライフバランスの矛盾

医療従事者の方々は、患者さんのために尽くすという奉仕の精神を持っていますし、それを求められる場面も多いです。
しかし、その価値観は現代重視されるワークライフバランスとは必ずしも一致しません。
夜勤がある職場も多く、サービス残業が当たり前という風土も根強く残っています。
使命感と健全な労働環境のバランスをどう保つかが重要な課題です。

労務知識の不足と業界慣習の優先

院長や事務職の方々は医療のプロフェッショナルですが、労務管理のプロではありません。
そのため、労働法規に関する知識が不足していたり、業界の慣習が法律よりも優先されたりすることがあります。
例えば「残業代は30分単位で丸めて計算する」という慣習がありますが、本来は1分単位で計算しなければ違法です。
また「診療前の準備時間は労働時間に含めない」という考え方も見られますが、これも本来は労働時間として扱うべきものです。
こうした慣習を少しずつ修正していくお手伝いをさせていただくことも、医療労務コンサルタントの重要な役割です。

良い労働環境が生み出す好循環

今回の研修課程を通じて最も印象に残ったのは「労働環境を整えることが、長期的には経営にも患者満足度にもつながる」という考え方です。

研修資料からは、医療現場の厳しい実態も見えてきました。長時間労働や夜勤、精神的な負担の大きさから、メンタルヘルスの不調を抱えながら働いている医師やスタッフも少なくないことが分かりました。労働環境の改善は緊急の課題といえます。

①　適切な労務管理を行い、スタッフが働きやすい環境を整えることで、優秀な人材が集まるようになり、
②　そして、働きやすい職場で働くスタッフは、モチベーション高く患者さんに向き合うことができ、
③　結果として、医療サービスの質が向上し、患者さんの満足度も高まり、
④　そうした好循環が、最終的には医療機関の持続的な成長につながっていく

こうなると、最高ですよね。

長い目で見た投資として労働環境の整備を捉えることの重要性を、研修を通じて改めて実感しました。

今回の研修課程で学んだ専門知識を活かし、医療現場で働く方々がより良い環境で力を発揮できるよう皆様のお役に立てれば幸いです。
医療機関の労務管理でお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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