うつ病だと思われる従業員が、病院への受診を徳島県徳島市のとくほ社会保険労務士事務所

うつ病だと思われる従業員が、病院への受診を嫌がる場合 新着情報の画像デコレーション
2022.6.18 うつ病だと思われる従業員が、病院への受診を嫌がる場合 コラム メンタルヘルス
会社の従業員が、どうも「うつ状態」のように見えます。
仕事上のミスや勤怠の乱れも見えています。
本人に受診を促しても、病院には行きたがりません。
こんなとき、会社命令で受診させることはできますか?

結論からいうと、従業員には「労働を提供する義務」があり、「そのために必要な健康を保持する義務」があります。
病気によってそれを維持できない場合、従業員には「必要な医療機関を受診する義務」があります。
なので、会社は「合理性・相当性」が認められる場合は、受診の命令を出すことができ、従業員はそれに従わなくてはいけません。

Contents

うつ病の基礎知識

まず、うつ病の症状を確認します。
外部から察知できるうつ病の症状としては、以下のようなものがあげられます。

・以前と比べて表情が暗く、元気がない
・体調不良の訴えが多くなる
・仕事のミスが増える
・遅刻、早退、欠勤が増加する
・趣味や外出をしなくなる
・飲酒量が増える

こういった症状がある場合、従業員に必要な受診を促すかどうか検討します。

企業には従業員の健康に対して責任がある

厚生労働省が定める指針では、

「メンタルヘルス不調に陥る労働者が発生した場合は、その早期発見と適切な対応を図る必要がある」

と定められています。

そして

「事業者は必要に応じて、産業医や事業場外の医療機関に繋いでいくことができるネットワークを整備するよう務めるものとする」

とされており、メンタルヘルスケアの内容として、従業員に受診を促す等の対応を求められているといえます。

また、企業には「職場環境をよくする義務」も定められています。

メンタル不調が原因で、職場のミスが頻発したり対人関係が悪化したりしているのが明らかな場合は、職場環境が安定しない可能性があります。

そのため、企業はこのような事態になる前に、医師の受診を促すなど適切な措置をとる必要があります。

では、会社が医師の受診を促したにも関わらず、従業員がそれに従わない場合、会社は受診を「命令」することはできるのでしょうか?

 

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就業規則や健康管理規定で、労働者に対して「健康管理上必要な指示・指導を守る義務」の定めがある場合

就業規則などで、

  • 労働者の「健康保持義務」
    健康管理についての指示または指導を受けたときはこれらを守ること

を定めている場合、従業員は労働契約上、これらの義務を負っているといえます。

その一方、従業員には医師の治療を受けるかどうか決める権利もあります。

受診命令が、治療回復という目的との関係で「合理性・相当性」が認められる場合には従業員には命令に従う義務を負うと考えられます。

 

就業規則や健康管理規定で、労働者に対して「健康管理上必要な指示・指導を守る義務」の定めがない場合

また、就業規則などで定めがないとしても、従業員は労働契約上「労働を提供する義務」を負っておりそのために「自分の健康を良好に保つ義務」を負っています。

つまり、就業規則に定めがないとしても会社の指示に従って医療機関を受診することは労働者の義務であるといえます。

ポイントは、従業員に受診を促すことについて「合理性・相当性」が認められるかどうかです。

  • 今回のケースでは
    ・うつ病であることが疑われること
    ・健康上の問題だけでなく、仕事のミスにより職場環境にも影響が出ていること

から、医師の受診が必要なケースにあたると考えられます。

まとめ

従業員には「労働を提供する義務」があり、「そのために必要な健康を保持する義務」があります。
病気によってそれを維持できない場合は、医療機関を受診する義務があります。
なので、会社は「合理性・相当性」が認められる場合は、受診の命令を出すことができ、従業員はそれに従わなくてはいけません。

就業規則などに、健康保持義務の規定を定めていたほうがスムーズに受診命令に繋げられるため、以下のように明記しておくと安心です。

【労働者の健康保持義務について 規定例】

・従業員は、常に衛生担当者その他の関係者の指示に従い、保健および衛生に関する事項を守り、健康維持増進に努めなければならない。
・従業員は、保健衛生のために、法令または会社が定めた諸規定を守るとともに、衛生に関する責任者および上長の指示・指導・注意を遵守しなければならない。
(これらの他、会社が行う健康診断の受診を定める場合があります)

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