- ほぼ休み明け(主に月曜日)に遅刻する
- 以前までしなかったケアレスミスが多い
会社にこんな方はいませんか?
体調が悪いのかな?
メンタル不調?
気になるけれど、どう対応したらいいんだろう?
今日はそんな、悩める上司の方に向けてお送りします。
2つの視点で考える
実は上の
- ほぼ休み明け(主に月曜日)に遅刻する
- 以前までしなかったケアレスミスが多い
は、メンタル不調者に見られる典型的なサインです。
「部下がメンタル不調かもしれない」という可能性も踏まえて行動する場合、基本方針としては大きく2つの視点で考える必要があります。
①メンタル不調かもしれない部下をこれ以上悪化させないようにすること
②部下がメンタル不調なのか?その程度も含めて確認すること
励ましや否定は避ける
メンタルヘルスはその原因、経過などのメカニズムが明らかになっていない部分が多いです。
悪化についての極めてデリケートなところがあり、周囲のちょっとした言葉によって症状を悪化させてしまうこともあります
避けたほうが良いのは
①メンタル不調の人を励ます
②不安な点、心配な点を否定する
こういった言動です。
「そんなの大したことじゃない、みんな同じ、気にするな、君ならできる、頑張れ」
などは避けたほうが懸命です。
逆に、言ってあげると良いのは
①その人の努力をねぎらう
②その人が大切なチームの一員であることを知らせる
③復調するまで無理をしないで場合によっては休んでほしいことを伝える
こういった寄り添う言葉になります。
メンタル不調の有無・程度を明らかにする
部下の状況が改善されない場合、
部下が本当にメンタルの不調なのか
違うのか
を判断する必要があります。
従業員には、給与という対価を受けることと引き換えに、組織のルールを守り業務命令に従う義務があります。
メンタルヘルスや体の不調ではなく、単なる怠惰で遅刻やケアレスミスが多い場合には会社として指導をする必要が出てきます。
指導を繰り返したにもかかわらず改善されない場合は、組織として譴責などの懲戒、人事措置を検討しなくてはいけません。
逆にメンタル不調であった場合は、病気により労務を提供ができないことになるため、休養や配転といった方法で本人の負担を減らすことを考える必要があります。
仕事を続けるのが難しい場合は、就業規則の内容によっては休職を指示することも検討しなくてはなりません。
メンタル不調かどうかは、専門医による診断を受けてもらうことになります。
このプロセスは、心の病気であろうと、内臓の不調やケガによる不調であろうと、変わりありません。
ただ、メンタルヘルスの場合は、本人が医療機関への受診を拒否する場合もあります。
こういった場合でも、使用者としての安全配慮義務の一環として業務命令で受診を命じる必要があります。
受診命令についての注意点は以下の3つです。
①プライバシーに極力配慮する
②受診先の医師の指定も、合理性があれば認められる
③ ①②ともに、就業規則に記しておくと会社側の裁量が広がる
【判例】 メンタル不調の従業員が自殺し、会社に賠償が求めたケース
上司にとって、部下のの健康、特にメンタルヘルスについて確認することは、プライバシーの問題からも気を使いますよね。
しかし、例えば従業員の症状が悪化して自殺に至った場合、会社が安全配慮義務違反として賠償責任を問われたケースもあります。
東京高裁 平成27年2月26日判決
頭痛や不眠があった従業員に「体調は大丈夫か?」とたびたび確認していたが本人は(うつ病治療中であることを話さずに)「大丈夫」と答えていた
→その後 従業員は自殺遺族からの損害賠償請求に対し、
一審は棄却
高裁は慰謝料支払い義務の限度で企業の責任を認める安全配慮義務の一環として
①単に「調子はどうか」など抽象的に問うだけではなく
②どこの病院に通院していて、どのような診断を受け、何か薬等を処方されて服用しているのか、その薬品名は何かなどを尋ねるなどして
③不調の内容や程度等を詳細に把握し
④必要があれば、産業医の診察や指導等を受けさせるなどした上で従業員の体調管理が適切に行われるよう配慮し、指導すべき義務があった。
会社としてはプライバシーへの配慮と、安全配慮義務の間で板挟みになってしまいそうになりますが、慎重に、毅然と、従業員に配慮して、対応することが大切です。
とくほ社会保険労務士事務所では、メンタルヘルス対策について
①メンタルヘルスについての問題が起きる前
②兆候が見えたとき
③メンタル疾患者が出たあと
各場面に応じて、社員への教育研修、休職規定の整備、休職者への対応など様々な支援を行っています。
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