「メンタル不調者に退職をしてもらいたい」と徳島県徳島市のとくほ社会保険労務士事務所

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2022.5.19 「メンタル不調者に退職をしてもらいたい」という経営者の方へ コラム メンタルヘルス

メンタル不調により、欠勤や遅刻を繰りかえす従業員がいる。
仕事をさせようにも任せられる仕事がない。
このような場合、退職勧奨をしても問題ないでしょうか。
また、退職勧奨に応じない場合、解雇することはできますか?

というお問い合わせをいただきました。
実際にこういった従業員の方を抱えている経営者の方はたくさんいらっしゃると思います。

退職勧奨自体は違法行為ではありませんが、手順をきちんとふまないと不当とみなされる場合があり、注意が必要です。

まず、解雇と退職勧奨の違いを整理してみましょう。

退職勧奨

退職勧奨とは事業主からの労働契約解除の申し入れのことで、労働者側からの自発的な退職を促すものです。
労働者には辞職に応じるかどうかの自由があります。

雇用保険の基本手当(失業給付)受給の際に関係する「離職理由」は、「会社都合によっての退職」と見なされます。
最終的に労働者の意思で退職したとしても、事業主発信で退職を促しているためです。

解雇

解雇とは、事業主が労働者に対して一方的に労働契約の解除を伝えるものです。
一方的な申出なので、解雇には厳しく決まりがあります。

大前提として

①就業規則への定めがあり、それに沿った解雇であること

他にも

②社会通念上相当であること③個人的にその人が邪魔でやめさせるなど不当な目的ではないこと

などがその決まりです。

守られていない場合は解雇無効となり、解雇とされた日以降の賃金の支払いや復職させることを求められる可能性があります。

 

退職勧奨なら簡単にやめさせられる?

退職勧奨は、会社からの働きかけで「労働者の意思」により退職したことになります。

しかし、その手続にはいくつかの注意点があります。

・退職勧奨行為を短期間に何度も行うのはNG(2ヶ月間のうちに12回呼び出すなど)
「社会的相当性を逸脱」してはいけない

・「退職勧奨に応じないと懲戒解雇になる」といって労働者に退職の決断をさせたが、そんな懲戒事由は定められていない場合はNG
事実を勘違いさせて退職の意志を引き出したことになり、労働者の意思とは言えない

・退職勧奨の過程で労働者を長時間、一室に閉じ込めて退職を強要するのはNG
退職は「強迫」によるもので、労働者の自由意志とはいえない

あらかじめ休職規定に定めておく

病気や怪我で長期間休んでいる従業員の取り扱いは経営者として悩みどころです。
退職勧奨は、それを受ける従業員やその家族に対して大きなショックを与えます。
なかでも心身の調子が悪い場合、話し合い自体が難しい場合も考えられます。
休業者が出るたびに、個別に対応するには限界がありますし、人により対応が変わるなど公平性に欠ける恐れがあります。

ポイントは

①あらかじめ休職規定を定めること

②休職規定には以下のことを定めること
・休職期間
・事業主は休職者に医師の診断書の提出を求める
・休職期間満了時に業務を行うことができない場合は規定に沿って退職となる

繰り返しになりますが、退職勧奨はどの会社にも生じる可能性のある課題です。

メンタル不調者に限らず「相手への配慮はしながら法律や規則に沿って対応する」ことが大切です。

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Author:徳島県徳島市のとくほ社会保険労務士事務所

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