

年次有給休暇(年休)は、すべての労働者に認められた大切な権利です。
しかし、実際には「年休を自由に取れない」「どのようなルールがあるのかわからない」といった声も少なくありません。
近年の法改正により、企業には「年休を確実に取得させる義務」が課され、より厳格な運用になっています。この機会に、改めて年休の基本を確認してみましょう。
Q1. うちは昔から年休がないんです。
A. 年休はすべての従業員の権利です。会社の方針に関係なく、労働基準法で定められた日数の年休を取得できます。
Q2. 働き方改革関連法で、有給休暇について何か変わったのですか?
A. はい。2019年4月1日より「年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の有給休暇を取得させること」が義務付けられました。
年休を取りやすい職場づくりの醸成として、上司や社長が率先して年休を取ることも大切です。
Q3. パート・アルバイトには年休を与えなくてよいですよね?
A. いいえ。パート・アルバイトにも年休を取る権利があります。
正社員並みに働くパート・アルバイトには正社員と同じ日数、それより短時間の勤務なら労働日数に応じた年休を付与します。

徳島市のとくほ社会保険労務士事務所
Q4. 忙しい時に年休を取る従業員がいて困っています。
A. 原則、従業員は希望した日に年休を取ることができ、会社は拒むことはできません。
ただし、業務に重大な支障がある場合は「時季変更権」を使い、別の日に変更できます。
ちなみに「業務に重大な支障」とは「経営上やむを得ない」くらいのレベルを指します。
単に「多忙だから」とか「代わりの人がいないから」では時季変更権は認められない場合があります。
Q5. 従業員から年休の時季指定の変更を求められました。
A. 働き方改革関連法にて、年休のうち5日間は、会社があらかじめ好きな日を指定し(時季指定)、年休を与えることになりました。
会社が指定した年5日の年休について、従業員から変更の申し出があった場合はできる限り対応しましょう。
Q6. 一斉に夏休みを年休として取らせることはできますか?
A. 年休のうち5日を超える部分は、労使協定を結ぶことで計画的付与が可能です。事業所全体の連休も検討できます。
Q7. 半日単位で年休を取得したいという希望がありました。
A. 年休は原則1日単位ですが、会社の判断で半日単位の取得を認めることができます。労使協定を結べば時間単位の取得も可能です。
Q8. 年休の賃金計算はどうなりますか?
A. 年休の賃金は以下の3つから選択し、就業規則に明記する必要があります。
① 通常の賃金(一般的な方法)
② 平均賃金
③ その他厚生労働省令で定める方法
Q9. 使い切れなかった年休を買い取ってほしいと言われました。
A. 年休の有効期限は「2年」で、それを超えた分は消滅します。
年休は「休ませて心身を回復させる制度」なので、休めないかわりにお金を支払うのは制度の趣旨にあっていません。
ですので、在職中の年休買い取りは法律で認められていません。
ただし、退職前の未消化年休の取得は拒否できません。
以上、年次有給休暇について、よくお問い合わせいただく質問を、まとめて整理しました。
改めて、自社の運用に問題がないかご確認ください。
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