

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、労働基準法第89条により就業規則の作成義務があります。
この「常時10人以上」には、正社員だけでなく、パートやアルバイトも含まれ、事業所ごとにカウントします。
「うちは従業員が10人未満だから関係ない」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。
10人未満の会社でも、助成金の受給や労務トラブル回避のために、就業規則を備えておくケースは増えています。
一方で、相談窓口などで「自社の就業規則を見てほしい」というご依頼を受けると、
事業規模や実態に合わない就業規則をそのまま使っている会社も少なくありません。
実は、自社に合わない就業規則を置いておくことは、法的リスクを抱える原因にもなります。
今回は、そのリスクと、会社に合った就業規則を作るために知っておくべきポイントについてお話します。
1. 会社の実態に合わない就業規則はハイリスク
最近はネットのひな形や格安作成サービスを利用すして就業規則を「とりあえず」作成する会社も増えています。
しかし、正直なところ「安かろう悪かろう」になっているケースも多いです。
・みなし残業時間制の記載が不十分で、遡って割増賃金を請求される
・変形労働時間制を導入したつもりが、就業規則の記載漏れで制度が無効扱い
・懲戒・解雇規定が甘く、解雇が無効→バックペイ請求
・副業・兼業、テレワーク、ハラスメント対応など、新しい働き方に未対応
これらは「就業規則が会社に合っていない」「法改正を反映していない」ことが原因です。
2. 法改正に応じて、就業規則の見直しは避けられない
ここ数年、労働関係法令は大きく変わっています。
小さな会社でも対象になるものが多いため、対応漏れがあるとトラブルリスクが高まります。
① 時間外労働の上限規制(働き方改革関連法)
2019年4月〜 大企業適用 → 2020年4月〜 中小企業にも適用
原則:月45時間、年360時間まで
違反すると罰則あり
→ 36協定や就業規則に明記していないとリスク大。
② 同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法)
2020年4月〜(大企業)/2021年4月〜(中小企業)
パート・有期契約社員への不合理な待遇差は禁止
差を設けている場合は、説明できるように
③ 育児・介護休業法
2022年以降 段階的に改正・施行
男性育休「産後パパ育休」制度が新設
従業員への制度説明義務・個別案内義務も追加
頻繁に改正があるため、規定が古いと未対応扱いになる可能性
④ パワハラ防止法
2022年4月〜中小企業も対象
ハラスメント防止のための就業規則整備が必須
方針明示・相談窓口の設置義務あり
これらの法改正に対応していない就業規則は「あるけど使えない」状態です。
そのまま放置していると、思わぬトラブルや是正勧告を受けるリスクもあります。
3. せっかく作るなら「会社の状況に合った」就業規則を
小規模事業所のご相談を伺うと、
「就業規則を作ったものの、ほとんど見ていない」という企業が本当に多いです。
それを防ぐため、当事務所では
「できたばかりの会社であれば、まず、その会社に本当に就業規則が必要かどうか」
「必要なら、どの項目に重点を置くべきか」
これをしっかりヒアリングしてから、最適な形をご提案します。
・残業が多そうな会社は「労働時間管理」に重点を
・テレワーク導入企業は「在宅勤務規定」を強化
・女性社員中心の会社は「育児介護休業対応」を重視
・高齢者雇用を予定している会社は「定年・継続・再雇用ルール」を整理
同じ「小さな会社」でも、力を入れるべきポイントはまったく違います。
4. 「誰にも見られていない」就業規則は裁判で負ける
意外と知られていませんが、就業規則は社員に周知されていなければ無効です。
・就業規則を作ったけど社員に見せていない
・最新版がクラウドや掲示板に反映されていない
・社員の実態と規定が乖離している
こうした状態では、労使間のトラブル時に就業規則を根拠に主張することができません。
河口湖チーズケーキガーデン事件(平成29年3月14日/甲府地裁/平成26年(ワ)第264号)では、横領のために解雇された労働者が、懲戒解雇の無効を主張したことにつき、懲戒解雇事由が周知されていなかったとして「解雇無効」が認められました。
固定残業代など、就業規則の規定が義務付けられている事項については、就業規則が周知されていないと適用できないという判決も出ています。
就業規則の周知を否定 固定残業代と認めず 東京高裁
作っただけ、では不十分なのです。
5. まずは作成や改訂が「必要かどうか」をサクッと相談しませんか?
・そもそも就業規則は必要なのか?
・作るならどこに重点を置くべきか?
・今ある就業規則について改訂が必要かどうか?
・費用はどれくらいかかるのか?
オンラインでご相談をお受けいたします。
無理に作成や改訂を勧めたりはしませんので、ご安心ください。
改訂するにしても、御社の人員構成やご予算に応じて優先順位をつけて提案させていただきます。
まとめ:就業規則は「会社に合わせる」ことが最重要
就業規則は、一度作るとなかなか変えにくいものです。
会社に合わない就業規則では、外注したお金を無駄にするだけでなく、法的リスクを抱える危険もあります。
「作成や改訂が必要かどうかから相談したい」という経営者の方からのご相談をお待ちしております。
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