企業運営において、労務関係の助成金は大きな味方です。
利用されている、利用を考えている経営者の方も多いと思います。
しかし、残念ながら助成金の条件を満たさないのに、不正に受給申請を行ったというニュースを多く目にします。
軽い気持ちで不正を行った場合、その代償は想像以上に大きなものとなります。
この記事では、助成金申請でよく見られる不正の例と、それが引き起こすリスクについて詳しく解説します。
助成金申請における労務データのごまかし
雇用調整助成金など、やむを得ない休業の際に休業手当を補填する助成金があります。
コロナ禍などで申請件数が集中したときに散見されたのが
「助成金を受け取るために、休業していないのに休業したとして、従業員の勤務実績を改ざんする」
手法です。
「他の事業所もやっている」
「コンサルタントが大丈夫といった」
だとしても、制裁を受けるのは申請した会社になります。
助成金の対象ではない従業員を対象として届け出る
助成金には対象となる従業員、ならない従業員が定められています。
過去に「〇〇助成金の対象となった従業員は対象外」など、要綱に明記されています。
そういった場合に、該当しないにも関わらず労働条件通知書等を改ざんして申請し助成金を受け取った場合は不正受給になります。
不正のリスク
コンプライアンス意識に乏しい事業主だと、労働局の調査などを甘くみて軽い気持ちで不正に手を出してしまうのかもしれません。
しかし、このような行為は、発覚した際に
・事業所名が公表される
・全額返還に加え、延滞金などのペナルティが課される
・刑事告発の可能性
・5年間の支給停止
などの制裁を受けます。
一旦受理されて、助成金を受け取ったあと、数ヶ月経ってから個別の調査で不正が発覚するケースが多いです。
不正が社労士にもたらす影響
社労士が良かれと思って事業主とともに不正に手を貸した場合、事業主と同じように事務所名が公表され、5年間助成金の申請に関わることができなくなります。
さらに、社労士会からの懲戒処分や登録取り消しといった重大なペナルティが課される場合があります。
また、全国社会保険労務士会から発行されている倫理要項に明記されていますが、提出代行であろうと事務代理であろうと、単なる代理人であっても社労士がどのような立場で関わったとしても、結果的な責任は免れません。
そりゃ
「なにも知らずに届出ただけ」
といって免罪されるのであれば、深く関わっていようともみんなそう証言しますものね…。
「助成金をスポットでやってくれる社労士がなかなかいない」
という事業主さんの嘆きをよく聞きますが、こういったリスクを追うことを避けているからです。
信用していないわけではありませんが、普段勤怠や賃金台帳を目にしていない企業の助成金はちょっと怖いですね。
事業主や事務の方のうっかりミスや出来心で、助成金の不正受給や制裁に巻き込まれることはリスクが高すぎると判断する社労士が多いのだと思います。
不正をしてしまった場合の対応
人間は、ときに合理的でない行動をとってしまうものです。
利益を挙げなくてはいけない、従業員を食べさせなくてはいけない、会社をたたむわけにはいけないというプレッシャーは相当なものでしょう。
個人的な感情としては、不正に関与して利益を得たいとは思っていませんし、巻き込まれるのは断固として拒否しますが、ちょっとした出来心で不正に手を出すことをそこまで責める気にはなれません。
(制裁を与えるのは国なり労働局なりの仕事なので)
不正にお金をもらおうとしたり、実際にもらってしまった場合は、制裁を受けなくてはいけません。
不正を隠そうとすると、問題はより深刻化します。
万が一の場合には正直に事実を認め、適切な対処法を探ることが最善です。
そして、行政や関係機関に正しい情報を再提出し、誠意を示すようにしましょう。
まとめ
「ちょっとした出来心」で行った不正が、会社や個人の人生を大きく変えてしまうことがあります。
しかし、不正が発覚した後でも、適切に対応することで被害を最小限に抑えることは可能です。
つつかれても後ろめたいことのないように、信頼ある運営を目指すことが、企業と従業員の未来を守る鍵です。
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