従業員が10人未満の小規模な会社の事業主の方から、こんなご相談を受けました。
ペナルティを与えることはできますか?
就業規則のない会社での懲戒処分のリスク
就業規則がない場合、懲戒処分を行うことは基本的にできないとお考えください。
労働法には、懲戒権の濫用という考え方があります。
会社が従業員に与えたペナルティが過度に厳しすぎたり、不公平だったり、処分の合理性に欠けている場合、その懲戒処分は無効とする考え方です。
就業規則のない懲戒は、裁判などで、この「懲戒権の濫用」とみなされる可能性があります。
判例では、
企業が従業員に懲戒処分を科すためには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別や懲戒事由を定めておくことが必要
とされています(フジ興産懲戒解雇事件 最高裁判所判決平成15年10月10日)。
就業規則なしで、上記を満たすことは大変難しく、従業員が懲戒処分を不服として訴訟を提起した場合、企業側が不利になるということです。
就業規則を作成することの重要性
懲戒処分を適正に行うためには、就業規則の整備が不可欠です。
就業規則の懲戒項目には以下の事項を明記する必要があります。
1. 懲戒の種別
例えば、戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇など、どのような懲戒処分があるかを具体的に記載します。
2. 懲戒事由
どのような行為が懲戒処分の対象となるかを明確にします。
遅刻、無断欠勤、業務命令違反、重大なミスなど具体的な事由を列挙します。
これにより、従業員に対する懲戒処分が合理的かつ公平に行われることを保証し、企業が法的なリスクを回避することができます。
10人未満でも就業規則の整備を
就業規則は「会社の法律」で、個々の労働契約よりも効力が強いと判断されます。
懲戒や休職、解雇などセンシティブなことをあらかじめ定めておく意味でも、就業規則があると安心です。
では、就業規則を定めれば会社が好きに懲戒できるのか?というと、そうではありません。
就業規則を作成、変更する場合には、労働者の代表の意見を聴かなければなりません。
その他、労働時間や休憩休日など、必ず記載しなくてはいけない事項があるなど、色々とルールがあります。
必要に応じて、労働基準監督署や専門の社会保険労務士に相談し、適切な就業規則を作成しましょう。
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