社員300人ほどの会社の、人事部長の方からご相談を寄せていただきました。
・仕事を覚えられない
・周りとコミュニケーション取れない
・遅刻を繰り返す
・仕事の手順がわからないまま進めてしまい、ミスが目立つ
呼び出して話を聞くと、最近発達障害と診断され、投薬やカウンセリングを受けているとのことです。
この場合、どのように対応したらよいのでしょうか。
発達障害は、治療法を探すよりも、時間をかけて育てる
発達障害については、「治療の必要な心の病気」というよりは「発達の偏り」という見方が一般的です。
職場のスタンスとしては、治療法を探すより時間をかけて育てるほうが有効と言われています。
「やる気や性格」の問題ではないと考えて、たとえ成長のスピードが遅くても、頭ごなしに否定しないことが大切です。
もちろん程度によりますが…。
発達障害と一言で言っても様々なタイプがある
一言で発達障害といっても、その特徴によって様々なタイプに分類されています。
- ・平均以下の知能機能を特徴とするタイプ
・学習能力に問題を抱えるタイプ
・発音や音声等に問題を抱えるタイプ
・運動能力に問題を抱えるタイプ
・注意力や持続性に問題があるタイプ
その程度も人によって様々です。
発達障害は治療というよりは時間をかけて育て直していくのが一般的ですが、発達障害の傾向が強いと教育や指導の成果が十分でない可能性もあります。
そのような場合は「その人の個性の一部」として受け入れ、適材適所に務める必要が出てきます。
対応のポイント
・マニュアルの整備
・仕事の整理、見直し
・基本的な挨拶やお礼
・遅刻のペナルティ
・作業をする前に上司に確認を取ってもらう
・報告・連絡・相談 の具体的な方法と内容を共有する
そんなことまで教育しないといけないのか?
と思われるかもしれませんね。
発達障害のかたは、空気や雰囲気で身につけることが苦手なため、パターンごとにこうすればよいということを教えてあげると実力を発揮できる可能性もあります。
雇用形態の見直しは最終手段
とは言え会社はボランティアではないので、時間をかけても成果が出ない場合のことも考えておかなくてはいけません。
そういった場合は雇用形態を見直す(非正規雇用などに変える)ことも検討が必要になりますが、それはあくまでも最終手段と考えます。
周りの社員のモチベーションにも注意する
私のクライアント様でたまにあるのが、発達障害の従業員へのフォローに追われて、いわゆる定型発達の従業員が疲弊してしまうケースです。
なんとなく「フォロー役」になってしまうのは、たいてい、面倒見の良い、優しい、真面目な従業員です。
発達障害の同僚が困らないように先回りして声をかけてあげたり、ミスしたときの後始末を引き受けてあげてしまいます。自分の仕事に加えて、なのでかなり負担がかかります。
しかし、発達障害の方の行動は専門家でない人間が理解、予測し切るのは難しいため、日々予想外のことが起こります。
親切心で始めたフォローなのに、報われないし、周りから感謝もされないし、フォロー辞めると罪悪感にさいなまれるし…。
こうして、フォローしていた側の社員が疲れ果てて退職してしまうのです。
会社として大切なのは、面倒見のいい社員一人に任せきりにしないことです。
マニュアルの構築や、仕事の見直し、スケジュールの管理などは、部署全体で取り組みましょう。
まとめ
適材適所を心がけることが発達障害の社員を活かす方法の一つ
フォロー役は一人に決めず、部署全体で取り組む
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